Kubernetes上のリソースをAnsibleで管理する

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お久しぶりです。@mosuke5です。
Kubernetes上のリソースをどのように管理していますか? kubectl apply -f manifest-file.yml のようにkubectlを使うことがまず多いのかなと思います。 自分もそのようにデプロイすることがおおいです。 今日はAnsibleを用いてKubernetes上のリソースを管理することを試してみたいと思います。

Kubernetesモジュール

AnsibleにはKubernetes上のリソースを操作するためのモジュールが用意されています。
k8s – Manage Kubernetes (K8s) objects — Ansible Documentation

似たモジュールにkubernetesというのがあるのですが、こちらはDepricatedになっており、Ansible2.9以降で削除される予定とのことなので、上のものを利用しましょう。

AnsibleでKubernetes上のリソースを管理する

それでは早速k8sモジュールを使って行きたいと思います。まずは事前準備です。
このモジュールではいくつかrequirementがあります。内部ではopenshiftのpythonライブラリを利用しているようなので忘れずインストールしましょう。

$ pip install openshift

認証の方法も一通り用意されています。
基本的にAnsibleを実行する端末でkubeconfigなりtokenを使ってkubectlが使える環境であれば問題ないです。 内部的にはkubectlを使うわけではないですが、認証の方法は同じです。

まずは試す

まずはスタンダードにansibleのtaskに直接リソース情報を書いてみます。
基本的にはresource_definitionの部分にmanifestのyamlが入るイメージです。 この程度の量なら問題ないですが、行数が増えてくるとだいぶ辛いですね。

- name: Create nginx deployment
  k8s:
    namespace: gillsearch-development
    resource_definition:
      apiVersion: apps/v1
      kind: Deployment
      metadata:
        creationTimestamp: null
        labels:
          run: nginx
        name: nginx
      spec:
        replicas: 1
        selector:
          matchLabels:
            run: nginx
        strategy: {}
        template:
          metadata:
            creationTimestamp: null
            labels:
              run: nginx
          spec:
            containers:
            - image: nginx:latest
              name: nginx
              resources: {}
      status: {}

既存のmanifestファイルを利用する

上の方法では、辛いケースも多く出てくると思います。 また、すでに書いてあるmanifestもあることも多いと思いますので、既存のmanifestファイルから読みたいです。 このようにファイルから読み出すことももちろん可能です。
./templates/nginx-from-file.ymlは通常通りのmanifestファイルです。

- name: Create nginx deployment
  k8s:
    namespace: gillsearch-development
    state: present
    src: ./templates/nginx-from-file.yml

Templateを使ってmanifestを生成して利用する

manifestファイルをそのまま利用するのであればAnsibleを使うメリットは少なくなってしまうかなと思います。
AnsibleではJinja2を使ったテンプレートの機能があるのでこれを活用しない手はありません。 例えば、Nginxのデプロイメントのレプリカ数を変数にしてmanifestファイルをテンプレート化して使ってみます。

- name: Create nginx deployment
  k8s:
    namespace: gillsearch-development
    state: present
    resource_definition: "{{ lookup('template', './templates/nginx-from-template.yml.j2') }}"

./templates/nginx-from-template.yml.j2内で変数展開などが可能。

apiVersion: apps/v1
kind: Deployment
metadata:
  creationTimestamp: null
  labels:
    run: nginx-from-template
  name: nginx-from-template
spec:
  replicas: {{ nginx_replicas }}  ## <--ここ
  selector:
    matchLabels:
      run: nginx-from-template
  strategy: {}
  template:
    metadata:
      creationTimestamp: null
      labels:
        run: nginx-from-template
    spec:
      containers:
      - image: nginx:latest
        name: nginx-from-template
        resources: {}

この例は簡単な例ですが、AnsibleのTemplateや他の機能を使うことで、 環境ごとでの(例えばProductionとTest環境)とで挙動や値を変えることももちろん可能です。

Ansibleで管理するメリットについて考える

それではAnsibleを使ってKubernetesを管理するメリットについてもう少し考えてみたいと思います。
基本的にAnsibleの機能をどう活かすかというところにつきるわけですが、どんな活用法があるでしょうか。

1. Template機能を利用できる

上の例でも見てきましたが、Template機能を使えることはまず1つメリットとして考えられると思います。
もちろんHelmなど他のツールでもKubernetesのmanifestのテンプレート化などは可能ですが、Ansibleでも同様に可能です。 AnsibleではJinja2のテンプレートエンジンを利用していますが、変数展開はもちろんif文なども利用でき活用の幅は大きいと思います。

2. ansible-vaultを利用してシークレット情報の管理ができる

Ansibleにはシークレット情報を暗号化できるansible-vaultという機能・コマンドがあります。
こちらを使うことで、Kubernetesのsecretリソースの管理にも活用できる点は良いポイントかもしれません。
例えば、credential情報をvar_fileとして記述しansible-vaultで暗号化して保存しておくとします。 そうするとKubernetesのSecretを作る際に下記のように展開して作成することも可能です。

apiVersion: v1
data:
  password: {{ password | b64encode }}
kind: Secret
metadata:
  creationTimestamp: null
  name: mysecret

3. 他の作業の流れに組み込みやすい

Ansibleはもとはサーバのプロビジョニングツールとしての位置づけが強いツールですが、今となっては今回のKubernetesやクラウドサービスなど様々なツールのプロビジョニングに活用されています。 そのため、他のツールやサーバ上の管理の流れと一部としてKubernetesの制御しやすいのは特徴的なポイントです。

例えば、Kubernetes上にリソースをデプロイ後に、DNSの設定を追加・変更するなどのKubernetes以外の操作と組み合わせしやすいかと思います。

まとめ

Ansibleを使って、Kubernetes上のリソースに対する操作をやってみました。 Ansibleという使い慣れているツールで、Templateやvaultの機能を利用できるのは良いポイントと感じました。 実際の運用に組み込めるか、採用するかどうかはいろいろ考えてみないとわかりませんが、選択肢の1つとしてありかなと現時点では思っています。

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